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東日本大震災を経て見えてくる、救命胴衣の可能性

3.11 東日本大震災の規模と被害

2011年3月11日 東日本大震災が発生しました。
現地・東北3県では日本観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し、波高10m以上・最大遡上高40.
5mの大津波、そして福島原子力発電事故へとつながる壊滅的な被害を受けました。
その中でも、水害による死者は全体の92.4%にものぼる1万2143人を占めました。
この東日本大震災をうけ、私たちはあらためて津波の恐怖を実感しました。
津波警報を聞いて避難場所などの標高の高いところに移動したにもかかわらず、津波の犠牲となった痛ましい出来事があちこちで起きていました。

たとえば宮城県気仙沼で指定避難地であった場所の頂上の標高は12メートルでした。
津波警報が出たあとに約100名が避難のために、その場所に駆けつけていました。
ところが、東日本震災の津波はそこでは14メートルの高さにのぼり、93名もの命が奪われたそうです。
岩手県でも陸前高田市の指定避難所であった市民会館では、約80名の方が避難しましたが、助かったのは十数人だけだったそうです。

津波によって多くの方々が犠牲になられた事を報道等で知るたびに、悲痛な思いと大変な衝撃を受けました。
そして、飛行機や釣り船では常識となっている命を守る救命胴衣のことが頭をよぎりました。
「もし東日本大震災の津波の前に、こういった救命胴衣が各自・各所で準備されていれば、多くの尊い命が救えたのではないか」
そう考えるようになり、私たちが少しでも寄与できる事は何かを検討し続け、培ってきた事業を基に、今後予測される地震・津波等の災害から少しでも多くの命が救えるよう、守れるように願いを込めてこのリュック一体型ライフジャケット【TSUNA GUARD(ツナガード)】を独自開発致しました。

まさかの時を想定して各ご家庭で避難用リュックなどをご用意されている方々は多いと思います。
震災後の避難生活のためにも必需品だと思います。しかし、災害が起こった時に本当に必要なもの…。
まず命を守るグッズが必要ではないかと考えます。津波に飲まれてしまった時に一番重要なのは、沈まないことです。
そこから、避難用リュックとライフジャケットが装備されていれば一石二鳥ではないかという考えに至りました。
津波警報が鳴ったときにこれをひとつ持ってすぐ避難していただければと思います。
また、学校・病院・公民館や自治会館あらゆるところに常設していれば、町を歩いている方でも津波が来ても助ける・助かることができるのではないかと考えました。

減災社会に向けて~自分の命は自分で守る~

現在、減災社会にむけインフラ整備・ハザードマップの再作成・地震予知や津波避難タワーの確保など国や自治体は動き出していますが、
十分な環境整備までは多くの時間と費用を要します。
また、十分な環境整備とは何をもって十分といえるのでしょう。
減災社会とは個人や企業や団体が「自ら守る命」という意識を高めることから始まります。
重要なのはひとりひとりが自己防災の意識をもって万が一に備えることです。
私どもネスト・ジャパンは、日本でも権威のある専門家から御教授いただいた『自己防災』『減災社会』という言葉を大切に日常での防災意識と準備の恒常化を目指しております。
この東日本大震災をきっかけに、「自分の命は自分で守る」という大切さを痛感しました。

各地で開催される防災イベントの出展を通じて、自己防災を呼びかける活動にも取り組んでいます。
内閣府による南海トラフ地震の最大被害想定に不安が広がっておりますが、『1000年に1度起こりうる巨大地震が再度きたその時のために、また、その他様々な地震が起こったその時のために日頃からこんなことが起こったらどうすると、あらかじめ考えておくことが大事だ』と専門家の方々もおっしゃっているように、我々は自分で自分の命を守らなければなりません。
「諦め・油断・おまかせ」ではなく、一人一人が「怯えすぎず、冷静に」防災対策、避難訓練の参加や備蓄をすすめていくべきです。
私共は、全国の(特に沿岸地域の)方々に【TSUNA GUARD(ツナガード)】を常備していただき、自己防災に努めてほしいという思いであります。

2014年モデル発売開始と、そのきっかけ

東日本大震災から3年が経過した2014年。人々の記憶から、少しずつ災害への意識が薄れ、防災グッズや危機管理意識も減少傾向にあります。備えておく場所がない、いつ起こるかわからないのに高額なものは買えないなどという意識が強いかもしれません。“防災や減災のために備える”というと、どうしてもマイナスなイメージ、かつ後回しになりがちです。そこで、防災を日常に取り入れることを目的とし、従来の【TSUNA GUARD(ツナガード)】をリニューアルし、2014年モデルを発売しました。従来の避難用リュックにはデザイン性がなく、家の中に常備されているため、他の用途で使われることはほとんどありません。

そのため、日常からアウトドアなどでも使ってもらえるようにするため、2014年モデルはデザインにもこだわりました。他にも、膨らまないでそのまま浮くタイプのライフジャケットや一見ライフジャケットに見えないダウンベスト風など、低価格帯のものも発売しました。“リュック一体型ライフジャケット”というコンセプトはそのままに、自分に合ったタイプの【TSUNA GUARD(ツナガード)】を選んでいただけるようラインナップを増やしました。

ネストジャパンでは、少しでも多くの方に【TSUNA GUARD(ツナガード)】をご覧いただき、防災意識を高めてもらおうと全国各地の展示会にも出展したり、防災イベントでも展示しています。個は家庭・家族を。企業は社員を守る責任や思いやりを持つことで、もしもの時の大災害からたくさんの命を救うことが可能になります。防災をもっと身近にもっと楽しく感じられるよう、【TSUNA GUARD(ツナガード)】を通して今後も発信していきたいと考えています。